株式会社キャステムは、1948年福山市で製菓業として創業し、1960年に製菓機械部品部門を立ち上げ、現在はロストワックス精密鋳造部品、セラミック射出焼結部品、金属射出焼結部品など、あらゆる分野に使われている「部品」製造会社です。海外にも工場を広げ、現在6か所に拠点を置いています。
お客様は、自動車製造から医療機器に至るまで幅広く、胃カメラの部品などの受注もあります。また代表の戸田社長は、紙ヒコーキのギネス記録保持者であり、紙ヒコーキ・タワーを提案したり、子供たちに「技ワングランプリ」を開いたりするなど、熱心にメセナ活動にも取り組んでいます。もちろん、社員の皆さんも「ものづくり」に対する情熱を持って、大変チームワークの良い企業と聞きこの度取材に伺いました。
インターン|可能
見学|可能
<取材メンバー>
福山市立大学
出井 元貴
尾道市立大学
尾畠 雛子
<インタビューご協力>
株式会社キャステム
戸田 拓夫さん
部署名・役職|代表取締役社長
<社長へのインタビュー>
Q.株式会社キャステムについて、詳しくお聞かせください。
(株)キャステムは、お菓子を製造する会社(マルト製菓㈱)から分社化し、部品を製造する金属加工業になりました。1960年に製菓機械部門を父がスタート。お菓子を作るやり方に似ていたのでその感覚で作っていたら、最初は不良品ばかり出てしまい大変不人気でしたが、立て直しを行ってからは良くなり、会社も大きくなっていきました。当初はミシンなどの細かい部品の製造が主でしたが、繊維産業が廃れ、ほかの産業向けにも進出しました。今は、胃カメラなどの医療機器の部品も多く作っています。広島カープ選手が履いているスパイクの金具も自社のデザインです。エラー数が減り、カープの守備力が上がりました。いろんなところから、いろんな要求がきます。形や素材の提案も行います。以前は言われた図面の通り作ることがうちの仕事だと思っていましたが、いいものを早く新しいアイデアで提案する、それでこそ日本のメーカーのあり方だと思います。営業も社員が行きたいところに行ってもらっています。どんな産業にも部品は使われています。今は企画力、デザイン力を重視し、単なる部品屋ではなく、変貌を遂げているところです。
Q.入社後、どのような活躍ができるのでしょうか?
基盤になる「製造部」、新しい仕事を取ってくる「営業部」、技術的にできるかを研究していく「新規事業本部」、出来ないことを可能にする「技術部」。「新規事業本部」は、社長の管轄です。プロジェクトや開発は社長責任で意志を持ってやっていく。社長が向き合ってやらないといけないと思っています。ほかには、もし品質に問題があった場合の対応を「品質保証部」が行っています。一度起きた問題を、もう二度と起きないようにする部署です。新しい設備を作る時には「保守メンテナンス」、いい資材を、できるだけ安く調達する「資材設備」。そして、より安くより良く作れるということを、図面を書き3Dプリンターで立体に起こして提案する「設計部隊」もあります。女性が活躍できるような仕事、例えば総務、設計、デザインは、できるだけ女性にさせています。「商品開発部」では、自社商品を作っています。海外のタイ工場は95%が女性。
Q.一番のピンチを教えてください。
先代からこの会社を引き継いだ時。当時は技術改革が行われ、品質の向上が急務でした。その中で工場長とのすれ違いが起き、製造現場のかなりの人数が辞めてしまったことです。
Q.そこからどのように立て直したのですか?
ひたすら他社に聞きに行きました。作り方が分からないのであれば分かる人に聞けばいい、そう思い知り合いの工場、お世話になっている工場、時にはライバル工場にも足を運び教えてもらいました。
Q.社内でのメセナ活動をよく耳にします。何か教育していることがあれば教えてください。
特にはありません。ただ会社がピンチだったときになぜ人が辞めていくのか、なぜ対立が起きてしまうのかという壁に当たりました。そこから「理想の会社」とは何か「良い会社」とは何かというのを社内で考えるようにしています。そこから自分たちが中心となり考えることで当事者意識が生まれ、会社が理想に向かってきていると思います。またその姿勢を見て若い社員が続いてくれています。中でも、ギネス記録を持つ紙飛行機や、各企業や団体が自分たちでコマを作り対決させるコマ対戦、会員約5,000人を抱え主に婚活や地域のボランティアスタッフとして、地域貢献活動をするB‐with、東京は秋葉原にできた「アイアンカフェ」では、お客様の個人の思いを形にする、ものづくりとの出会い系カフェを経営しています。ここ最近でメセナ活動が爆発しています。
※「メセナ活動」とは…企業が主として資金を提供して、文化・芸術活動を支援すること。
Q.戸田社長が大切にしているモノ、コト、コトバがあれば教えてください。
「もう半歩」という言葉です。例えば同じ距離にあるスーパーマーケットがあるとします。片方の接客は雑で、片方は非常に丁寧、あなたならどちらのスーパーマーケットに行きますか?例えば同じ品種を扱う自動販売機、自分の家から100mの自動販売機と99mの自動販売機。あなたならどちらで飲み物を買いますか。このようにほんのわずかな差でサービスが受け入れられたり、モノが買ってもらえなかったりします。そのため常に自分が全力を出していて、さらに周りより一工夫できているか、「半歩」先へ進んでいるかどうか問いかけています。
<従業員の1日>
吉田 瑛さん(29)
出身大学|カリフォルニア大学サンディエゴ校
出身地 |広島県
スケジュール(ある日の1日)
08:00|出勤。ラジオ体操、朝礼、その日の業務の確認!
09:00|米国の上司と出展予定の展示会に関して打ち合わせ。打ち合わせ内容を元にリサーチ業務
12:00|昼食
13:00|来客対応(海外からの来客も時々あります!)
14:00|展示会サンプルの製造に関しての打ち合わせ。海外で目立つサンプルを形にするため、製造のメンバーと一緒に仕上げていきます
16:00|フィリピンにいる上司に報告
17:30|退社(何もなければ定時で帰るように努めています!)
入社の時に感じていたこと
北米の市場を視野に営業を開始しようとしていたキャステムを知り、私の海外経験や語学が役に立つのではと思い、入社を決めました。
他業種からの転職だったので、技術に関して知識がない事を不安に感じていました。でも、興味さえあれば頑張れるし、製造に関しては熟練のエンジニアが多くみんな優しいので安心です。
やりがいを感じる時
キャステムを知らない企業の方に「この会社、面白そうだな」と思ってもらえた時。
金属部品の発注以前に、キャステムという会社や技術に興味を持ってもらえなければ進む話もありません。特に海外での顧客開拓は、文化や言語の違いもあり難しいですが、その分やりがいを感じます。
休みの日にすること
旅行!週末だけでも東京、名古屋くらいまで行きます。休みが3、4日あれば海外も行きます!
学生さんへひとこと
ちょっとした事にも興味をもって日々の生活を送ってみてください。学生の時に得た経験はその後の社会人生活でも必ず自分を支えてくれます!
<感想>
福山市立大学
出井 元貴
キャステムへは学部の先輩や、地域活動で知り合った方が活躍されているために、どの様な会社か何をサービスとしているのかは知っていました。また戸田社長のことは「紙飛行機の人」という認識でいました。しかし、取材をして行く中で非常にエネルギッシュな方だなと思いました。1つ1つのストーリーを大切にされており、「良い会社」とは何かを考え実践されていると感じました。またカープのベルトや貯金箱、ぐい呑なども商品展開しており今後もチェックしようと思います。
尾道市立大学
尾畠 雛子
<会社概要>
キャステムグループ 最高責任者 戸田 拓夫
創 業 |昭和45年2月
資本金 |7996万円
従業員数|200名
インターン|可能
会社説明 |可能
・本社
住 所|広島県福山市御幸町大字中津原1808-1
TEL|(084)955-2221
FAX|(084)955-2065