福利物産株式会社は、およそ230年前の江戸時代中期、綿問屋より始まりました。
北前船の寄港をきっかけに江戸末期から明治にかけて海産物問屋になり、戦後海産物問屋からメーカーへと事業を転換し、高品質の製品つくりに取り組み「味付ちりめん」などを開発し大ヒット商品となっています。以来食品メーカーとして現在まで、発展している福利物産株式会社に取材をしました。
インターン|なし
見学|随時可能
<取材メンバー>
尾道市立大学
大野真信
<社長へのインタビュー>
Q.企業理念としてどうしてダーウィンの言葉を選んだのですか?
「世の中に生き残れる生物は、その時代が要請したものか、或いは又その時代の環境に対応したもののみである」(チャールズ・ロバート・ダーウィン)
尾道は昔から商業都市で豪商が多かったのです。しかし、時代の荒波の中で多くの同業者がなくなっていきました。弊社は綿問屋から海産物問屋へ転身し、現在は食品メーカーとして生き残っています。周りの環境に対応して形を変えていったのです。これからも、数年先は何を造っているか分からないですよ。先代が生前「当社が何とか生き残ってきたのは、変化に対応してきたからだ」とよく言っていました。その中でダーウィンの進化論もこの理念を作った先代の教えに通ずるものがあったのです。
Q.新しい商品はどのようにして生み出すのですか?
全従業員からいつでもアイデアをもらえるように常に様々な角度からアプローチしています。また、意見があがったアイデアをとりあえず形にしてみるという取り組みもしています。それらの意見を取り入れて開発課では毎日、新商品の試作や、研究を行っています。
Q.他の企業との違いや強みはなんですか?
佃煮製造では、「味付ちりめん」のようにロングセラー商品と「くるみ小女子」など、大ヒット商品を生み出し販売していることです。「くるみ小女子」福利物産しか出せない味に拘っています。また社内では、従業員が自由な活動ができるような雰囲気、環境作りを心掛けています。
そして、食の安全は徹底した原材料の選別をしていることと、ISOに基づいた生産体制をしていることで守っています。
Q.尾道おちこち(尾道散策情報誌)はどうして創刊しようと思ったのですか?
北前亭という店舗を作ろうと企画が始まった時に、完成までの時間で尾道をPRしようと思ったからです。店舗のPRもあるけれど、尾道という町にはもっと面白いものがあるし、観光客だけでなく地元の方へも知っていただきたかったからです。
Q.企業としてはどんな人材を求めますか?
コミュニケーション能力のある人ですね。分からないことでも、相手の話を理解できる人なら、仕事ができるようになるし、その人には、いずれ仕事を任せることができるようになります。自分の長所を伸ばせる人ですね。人には得手不得手がありますので、適材適所に配置できるように考えています。食品に関心がある人はもちろん、社交的な人は営業部へ、ものづくりに関心がある人は開発部へというように、個性を活かせるようにしています。文系理系はこだわっていません。
Q.また、そのような人材になるために学生は何をすべきですか?
長所を磨くことです。中小企業は学歴だけではありません。また、面接ではコミュニケーション力や経験をアピールするために相手に分かりやすいようにストーリーがあると伝わりやすいです。 また、急な質問への対応力も付けておくといいでしょう。
Q.これからの企業の目標はなんですか?
長期的な目標はありますが、その時、その時で対応することが大事です。大まかなビジョンはあります。時代の流れに臨機応変に生き残るために、たくさんの手段を考えます。それにはやってみないとわからないことも多いですし、やりながら考えていくことです。今まで通りではなく社会の流れで様々な可能性を探っていきます。
その中で、社員一人一人の能力を最大限活かすことを考えています。環境作りとして新工場を建設中ですが、生き残りをかけて挑戦していきます。
<従業員の1日>
平藤 殊子さん(23)
出身大学|福山大学
出身地 |広島県
スケジュール(ある日の1日)
08:15|ラジオ体操・朝礼
08:20|試食会
9:00|新規規格書作成(新規・開発記録の整理)
10:00|レシピ調合表作成(開発記録の整理)
11:00|営業部と打ち合わせ(サンプル依頼・作成)
12:00|昼休憩
13:00|試作
15:10|菌検査・理化学検査
16:30|試食
17:00|業務終了
入社の時に感じていたこと
学生から社会人になるにあたって、知り合いが一人もいない新しい環境になるので、仕事内容・人間関係など不安しかありませんでしたが、気さくに話しかけてくださる先輩社員の方々、食品会社なだけに食の話になると盛り上がり、馴染み易かった気がします。
やりがいを感じる時
お客様から「おいしい」との声をきけた時です。製品の開発だけでなく、品質管理も行っている部署で、日々お客様に安全・安心な製品がお送りできるよう努めています。実際にお客様と直接話をする機会はありませんが、月1に行われる全体会議で営業部を通じてお客様の声を伝えていただけるので、その時やりがいを感じます。
休みの日にすること
友人と旅行やランチにいっています。
学生さんへひとこと
大・中・小企業とたくさんありますが、それぞれにたくさんの魅力があります。情報収集は決して無駄にはなりません。自分に合う働くイメージのできる会社に出会えることを祈っています。社会人になると自由な時間は学生に比べ、確実に少なくなります。1日1日を大切に学生生活をめいっぱい楽しんでください。
<感想>
尾道市立大学
大野真信
今日の取材をさせていただいて、社長の臨機応変に対応する力についてお話をしていただいたのがとても印象に残りました。
目まぐるしく変わる時代の中で長く続いてらっしゃる福利物産さんは臨機応変に対応し、常に挑戦し、戦い続けてらっしゃることがよく分かりました。
また、就活についてのお話も聞かせていただき、これから日々のコミュニケーション能力をアップするために自分の長所を、磨き続けていろいろなことに挑戦していこうと思いました。
<会社概要>
代表取締役会長 福島 光宏
創 業 |江戸時代中期 安政年間 (230年以上も前の事になります)
会社設立|1930年4月
資本金 |2002万円
従業員数|120名(男性35名、女性85名)
・本社
住 所|広島県尾道市東尾道14-20
TEL|(0848)46-2323(代)
FAX|(0848)46-2514