社会福祉法人若菜は、障害のある人とその家族の生活を支援する複合施設を運営しています。事業内容は個人の適性に応じて分かれており、農業部門や工芸部門、企業支援部門、清掃部門、食品部門、店舗部門などがあります。設立から14年目を迎えた社会福祉法人若菜の藤本英次理事長と社員さんに取材しました。
インターン|可能
見学|随時可能
<取材メンバー>
福山平成大学
木村 俊介
<社長へのインタビュー>
Q.どうして障がい者の施設を運営しようと思われたのですか?
私はもともと印刷業を営んでいました。人のご縁でいろいろな方から障がいのある方が生き生きと働ける施設が少ないことを聞いて、よし、それなら私がやってやろう!と思い立ち、あちこち相談に行きました。私が本気でやろうとしていることが、相手に伝わったときに、支援者が一人、また一人と増えていき、情報が入るようになりました。最初の施設は、廃校になった学校を利用して立ち上げました。それも多くの人に助けてもらいながら夢がかなったのです。健常者と障がい者の境なく、みんな同じ環境で働ける施設を作りたかったのです。
私はこの仕事を始めて14年目になりますが、最初は6人だったスタッフが、今では140人に増えました。利用者さんは、12人からのスタートでしたが、210人になっています。
Q.なぜ飲食店が増えているのですか?
利用者さんがやりたいという意見や、職員がやりたいという声を大事にしています。このベーカリーカフェも、パンを作るのが大好きな人がいたので、どうせやるなら、プロに習って本格的にしようということで、名古屋の美味しいパン屋さんで修業をして作ることになりました。その人が他の人に作り方を教えて、今では、みんなで工夫してカフェの運営をしています。他にもカレー屋さんや定食屋もありますが、職員の声を大切にして、できる限りのことを実現するために考えています。たとえ障がいがあっても、やりがいのある仕事ができる自信になってほしいし、少しずつ仕事を通して変わっていく姿を見たいと思います。
Q.御社に就職したら、自分の趣味は活かせますか?
答えは「はい」です。私の考え方は「自分がやりたいことをやる!」ことが一番成長すると思っています。一人一人の得意なことを伸ばしていけば、自然とハンディは消えていくものです。定食屋さんもそうでしたし、お蕎麦(そば)屋さんもそうでした。やりたいことができると、楽しい。楽しいからもっとやろうと前向きになる。それによっていい方向へ向くと思います。仲間として一緒に働けば、障がいの有無は、関係なくなります。お互いを認め合い、感じ合って、できることを伸ばしていく、そのような環境をたくさんつくりたいのです。職員には得意なことをどんどんやってほしいと思います。
Q.どのような人を採用しますか?
ひと言でいうとハートのある人、つまり人の気持ちがわかる人です。社会とは相手との信頼関係で成り立っています。ですから、一緒に働く人に思いやりや優しさが持てる人を採用したいです。
Q.就職するまでに4年間どんな力をつければいいですか?
いろいろものを見たり、聞いたり感じたり、たくさんの経験を積んでほしいですね。その過程で自分のやりたいことが分かってくるので、そうすればしたい仕事が見えてくるし、その経験を仕事に活かすことができるのではないでしょうか。4年間を柔軟に考えて、好きなことを選んでやっていれば、きっと自分がいい方向へ変わると思います。
今のうちに、経験しないと大人になってから分からないことだらけになりますよ(笑)
もう一つは多くの人と接したほうがいいでしょう。いろんな年齢・階層の人たちと話したり、会いに行ったりする。4年間でたくさんの友だちをつくることも非常に大切です。就職してからでも情報交換できるし、大学の友だちは社会に出てもつながりが深くなります。
また、アルバイトもした方がいいですね。今までは客の立場でしか物事が見えていなかったと思いますが、働く立場になると違う視点から物事を見ることができるようになるからです。
Q.これからの展望は何ですか?
私の夢は利用者のみなさんが一生自分たちで暮らしていける施設を作っていくことです。ちょうど10周年の年に、福山のリーデンローズで、創立10周年記念の音楽祭をしました。その時に模擬結婚式をして、その後、実際にそのカップルが本当に結婚したのです。それが本当にうれしかったです。他にも散髪屋さんがあってもいいし、スーパーがあってもいいでしょう。これからもっと増やしていきます。
利用者さんと毎日接していて、皆さんとても元気なので、こちらも元気がもらえます。利用者さんの得意なことを活かせる仕事をしながら、みんなで障がいのハンディが感じなくなるような環境を作りたいですね。
一緒に働く職員が障がい者を支え、助けていけばできないことはないと思います。
<従業員の1日 その1>
迫 晋二郎さん(26)
部署名・役職|社会福祉法人若菜 すが野の里 支援員
出身大学|尾道市立大学
出身地 |広島県
スケジュール(ある日の1日)
08:00|出社
09:00|利用者の受け入れ(通所して来られた利用者の着替え等の対応)
10:00|請求事務(小口現金の管理・請求書類の作成・請求情報の入力)
12:00|昼食・昼休憩(昼食は配食センターから届く)
13:00|利用者と内職作業(商品用の箱を折る)
15:00|利用者の見送り・送迎開始
17:00|退社
入社の時に感じていたこと
理事長をはじめ、職員の方の暖かい雰囲気に魅力を感じました。仕事内容については、未知の世界だったため、不安だらけでした。
やりがいを感じる時
初めはコミュニケーションが取れなかった利用者と一緒に作業をするうちに、相手の伝えたいことが分かった時。
休みの日にすること
読書・音楽を聴く・ゲームをする・友人と食事に行く。休日は好きなことをしたり、友人と会って話をしたりしています。
学生さんへひとこと
友人を大切に。社会人になってから気軽に相談できる友人がいることは、それだけで貴重な財産だと、今になって強く感じています。楽しい学生生活を送ってください。
<従業員の1日 その2>
村上 彩子さん(27)
部署名・役職|あやめの里 生活支援員
出身大学|福山大学
出身地 |広島県
スケジュール(ある日の1日)
08:20|出社。作業準備、職員ミーティングなど
09:00|利用者出勤。更衣対応、作業支援、生活支援等
12:00|昼食・昼休憩(午後からの作業段取り、申し送り等)。食事介助等
13:00|午後仕事開始。作業支援、生活支援、更衣対応等
15:00|利用者見送り。施設内外片付け、職員ミーティング等
17:00|退社
入社の時に感じていたこと
今まで全く福祉のことについて学んでいなかったので、仕事に付いて行けるのかどうかと思いましたが、会社の雰囲気がいいなという印象でした。
やりがいを感じる時
毎日接していく中で上手くいかないこともあったけれど、諦めず接していってその結果利用者の皆から信頼してもらえるようになったり、笑顔で話しかけてくれたりした時。
休みの日にすること
家でゆっくり過ごしたり、大好きなアーティストのDVDを見たりしています。
学生さんへひとこと
沢山の人と出会う学生時代に、色んな人と話をしたりする機会を大事にしてほしいです。
その関わりが後の自分に繋がってきます。そして、勉強はもちろんですが時にはしっかり遊ぶことも大事です!その中での出会いがこの先の大きな出会い(縁)にもなります。
<感想>
福山平成大学
木村 俊介
私は大学入学してやりたいことが見つからず、何をすればいいか分からずに過ごしていましたが、取材を通じて理事長さんの柔軟な考え方をまねしたいと感じました。今の自分の状況に焦らずに、友だちをたくさん作って、いろいろなことに挑戦して経験を積んでいけばいいと言ってくださいました。
若菜さんでは、社員の意見をとても大事にされています。私も自分の意見を持って仕事に取り組めるような職場に就職したいと思いました。
いろいろ理事長さんが話してくださったことがとても印象に残っています。やりたいことが見つかったら、口に出して人に聞いてもらいなさいと言われました。本気で話せば人に伝わるからと。理事長さんは、そうやって自分の夢をかなえてきたそうです。
私も自分のやりたいことが見つかったら、しっかり口に出して人に聞いてもらうことにします。今回の話を意識して大学生活を過ごしたいです。
<会社概要>
社名|社会福祉法人 若菜
創業|平成15年3月
代表取締役|藤本 英次
本社|広島県尾道市東尾道6-16
TEL|0848-56-0056
FAX|0848-56-0057
施設名|あやめの里(農業部門・加工部門・美術活動)、すが野の里(農業部門・食品加工部門・美術活動)、さざなみの里・潮かぜの里(食品加工部門・清掃部門・喫茶店経営・企業支援部門)、きずなの里(農業部門・食品加工部門・モノ作り部門・ジャム&カフェ・手打ちそば)、みのみの里(農業部門・食品加工部門)、あじさいの里(農業部門・食品加工部門・体験活動・カレーハウス若菜)、北方の里(洗車外注部門・芸術活動部門・畑部門・調理部門)、グループホーム尾道地区(川辺の里・さくらの里・ほたるの里・すみれの里・たかすの里Ⅰ・たかすの里Ⅱ)、グループホーム福山地区(にしきの里・あかねの里・みのみの里)